仕事で使えるジョブズの名言
さて本日もジョブズの名言を紹介します。昨日紹介したジョブズの記事がかなりの反響を得ました。言葉はそれが発せられる前後にストーリーがあります。これを抜きにして名言を語ることは邪道。その言葉の真意を理解するからこそ本当に力を持った”人を動かす(行動させる)”名言となるのだと思います。それでは本日もスティーブ・ジョブズの名言をお楽しみください。
OOOのためにコンピュータを作る
『The roots of Apple were to build computer for people, not for corporations.』
→ アップルが根底に抱えているのは、会社のためではなく人のためにコンピュータを作り続けるという理念だ。
顧客の創造。これまマーケティングの目的の1つである。ジョブズは元々、自分や友人のためのコンピュータが作りたくて会社を始めた。つまり普通の人が買えて使えるコンピュータである。ジョブズはアップルが大きくなっていってもこの姿勢は一貫して変えなかった。ジョブズはこうも言っている。「The world dosen’t need another Dell or Compaq.」世界はもう1つのデル、もう1つのコンパックを欲しがっていない。アップルはいつも自分がつくり出した顧客に向けてコンピュータを作っている。
止めれば次が始まる
『If you look backward in this business, you’ll be crushed.You have to look forward.』
→ この業界では、過去を振り返っていたらつぶされてしまう。将来を見据えて前に出ていかなくてはいけない。
これは1997年、ジョブズがアップルに戻ってきた時の言葉だ。この言葉の前にジョブズはこう言っている。「I got back here in 1997, I was looking for more room, and I found an archive of old Macs and other stuff.」1997年にここ、つまりアップルに戻ってきた時、スペースがないかと探しまわっていたら、古いマックなどが保管されているのを見つけた。「I said,”Get it away!” and I shipped all that shit off to Stanford.」そこで「とっとと片付けてしまえ」と命じ、ガラクタを全部スタンフォード大学に引き取ってもらった。この時アップルは過去の栄光にしがみつき、イノベーションを忘れていたのだ。つまり新しい何かを作り出す気概がなくなっていた。ジョブズは言う。何事も止めれば次が始まる、と。
人間主体の発明
『The most important thing is person. A person who incites your curiosity and feeds your curiosity; and machines cannot do that in the same way that people can.』
→ 肝心なのはやはり人間なのだ。人の好奇心に火をつけるのも人間なら、その好奇心を満足させるのも人間。こんな真似は機械にできることじゃない。
よく言われていることだが、ジョブズはコンピュータを人類最高の発明の1つだと讃えている。しかし、それはコンピュータを使って人間がより早くより創造的になれるからだという。ジョブズは単なるコンピュータ好きのヲタクとは違う。そんなジョブズはこう言った。「人が優れた仕事をできないのは、たいていの場合、彼らがそう期待されていないからだ。でも、お膳立てさえしてやれば、みんな自分で思ってた限界を上回る仕事ができるんだよ。歴史に残るような、本当に素晴らしい仕事がね。」と。一見、マネジメントする際に使われた言葉に見えるがこれは消費者に対しても言えるのだ。人間の創造性を駆り立てるツールをジョブズは作ってくれた。たしかに、コンピュータがなければGoogleもFacebookも生まれていなかっただろう。
宇宙に衝撃を与えたい人
『We attract a different type of person – a person who doesn’t want to wait five years or ten years to have someone take a giant risk on him or her.』
→ アップルはいささか変わったタイプの人間を引き寄せてしまう。大きな仕事を任せてくれるまで5年も10年も辛抱強く待ってはいられないような者たちだ。
イノベーションはどうすれば起こせるのか?この疑問は世界中の多くの企業が未だ答えを出せずにいるだろう。そんな中これまで数々のイノベーションを起こしてきたジョブズはこう言う。イノベーションを起こすにはIBMに勤めているような、まじめでネクタイをきちっと絞めた秀才たちだけでは起こせない。イノベーションを起こすには、能力はあるがちょっと型破りだとか、アウトロータイプ、自由人、厄介者、暴れん坊と言われる人間が必要だ。世間一般のAクラスの人間と言えば、天才や切れ者、敏腕という言葉で当てはめるが、ジョブズの考えるAクラスはまたひと味違った人間であることがわかる。ジョブズのマネジメント能力あってこそこのような荒くれ者達をまとめることができ、彼らの力を最大限発揮させることができたのだ。そうやって形成されたのがあの有名なマックチームだ。上の言葉にはこう続く。「Someone who really wants to get in a little over his head and make a little dent in the universe.」少々背伸びをしながらも、宇宙に何がしかの衝撃を与えたいと心の底から考えているような者たちだ。どうやらイノベーションには未来への情熱が欠かせないようだ。
人よりもはるか先に前へ行くこと
『It’s like giving a glass of ice water to somebody in hell!』
→ 地獄であえいでいる者に氷水を差し出すようなものだね。
ジョブズは勝負に勝つためには、人よりもはるか先に前へ行くことだと言っている。この言葉はWindows版iTunesを提供した時に発したジョーク。リリース当初はビル・ゲイツも「マイナーリーグなら、ジョブズもいい成績を残せたろうけどね。メジャーリーグじゃ事情は違う。」と余裕をかましていた。しかし、ゲイツの予想に反するiPodの売れ行き。ユーザーが求めていたのは斬新さだった。ここでMicrosoftとAppleの企業価値は逆転した。ジョブズはライバルと戦っていたのではない。ライバルが追随できないほど斬新な製品を生み出すために自分自身と戦っていたのだ。市場に合わせて、その場の状況に合わせて製品を生み出していてはいずれライバルに追い抜かれてしまうのだ。地獄であえいでいる者にぬるま湯を提供したところで喜ぶのはほんの一瞬である。
まとめ
いかがでしたでしょうか。本日のジョブズの言葉は仕事で役立つ名言でした。ビジネスにおいて渦中にいるときはどうしても気付きにくい部分ではあると思います。また日本では協調の文化があるためマックチームのような異端児ばかりが集まることなどないのかもしれない。だからこそ大切な言葉たちです。現状維持やリスク回避に力を注ぐだけならば誰でもできる。あなたにしかできないこと、あなたが本当に求めていることが実現できる環境を見つけたり作り出したりした際にもう一度ジョブズの言葉を見ると良いかもしれません。「もういいや、ってまだ何もしてないじゃん。」誰の言葉かわかりませんが、好きな言葉です。
TOEIC講師:石崎力也