日本で生まれ日本で育ち英語は日本で身につけた
「もうちょっとみんな英語が分かってもいいんじゃないかな」。彼女は言います。彼女が初めて英語に触れたのは10歳のころ。兄の影響で洋楽を聞くようになり、自然に口ずさみたくなったという。最初はマドンナや流行りのポップス。そして小学校6年生の時にプリンスを聞いて本格的に洋楽に傾倒。はじめはただ一緒に歌いたいだけだったようだ。真似して歌うことが楽しかった。中学生になってからは「何を歌っているのか知りたい」という気持ちから、英語の歌詞カードを辞書を引きながら訳した。訳が付いているものもまずは自分で訳してみて、その後付属の日本語訳を見て答え合わせをすることが趣味でもあった。時には曲を聞いてそのまま耳コピで英語の歌詞を書き出してみたりもした。中学〜高校はずっとこんなことしてた。彼女はそう語る。みなさん誰だかわかりますか?
日本人だよ、BONNIE PINK
BONNIE PINK(本名:浅田 香織)さん。女性の方は本当に顔だけ見ても年齢わからないですよね。まだ20代だろうと思っていたら”1973年4月16日”生まれでした。まあ年齢はいいんです。彼女は日本で生まれ育ち英語をネイティブ並みに身につけた方です。学歴は大阪教育大学を卒業しており、歌手活動をスタートしたのは大学在学中。当初は”BONNIE PINK”ではなく”Bonnie Pink”として活動していました。そして、”Bonnie Pink”の名前が広がっていくにつれて、「浅田香織」との間にギャップを感じ、音楽活動を楽しめなくなり、1998年にアルバム『evil and flowers』を発表した後、休養と勉強のために単身ニューヨークに渡りました。
BONNIE PINKは自身の英語にリアリティをプラスした
ニューヨークに渡ったのは、自身の英語の歌詞によりリアリティを持たせるためだといいます。英語で歌詞を書いていても、英語圏で生活したことがなかったので引け目を感じていた。ニューヨークで得たことは「日本人は精神的に控えめ。でも、そこを変えていかないとニューヨークでは生きづらい。ニューヨークに居た間にニューヨーカーとしてのパーソナリティが新しくできた気がします。」と言っている。BONNIE PINKさんはニューヨークに行く前に既に外国人との意思疎通はできるレベルだったようです。自分の音楽で使う言語(ツール)をより正しく、より深く使いこなすために単身ニューヨークに飛んだんですね。
BONNIE PINKはどこまでも独学で英語を極める
作詞の際は文法は気にするものの、発音は大して気にしていないそうです。彼女はよくスウェーデン人と仕事をするらしいのですが、スウェーデンの方々も英語は流暢ではありますがネイティブではないために、彼女の発音や言い回しが多少不自然でもスルーされるらしいです。アメリカ人と仕事をして歌詞や発音のチェックをしてもらっても「ちょっと変わってるからおもしろい」とこれまたスルー。あくまで独学で英語を身につけ、英語を楽しく使えている方ですね。
戦略家BONNIE PINKの教え
彼女は2005年くらいから本来自分が憧れていた世界に飛び込む決意をしました。海外進出ですね。最初から海外に目を向けなかったのは、日本で安定した地位を得る前にそういうことをやったら、全てが中途半端になって逆に続かないという予想があったからだと話します。BONNIE PINKさんの下積み時代と言えるでしょうか。下積みが日本で地位を確立することって、カッコいいっすね。ここに一つ学びがあります。英語ができるから即世界に行くのではなく、あくまで自分は音楽家で音楽を武器に世界で戦いたい。そのために必要な英語は持っていて当然という感覚。また英語はあくまでも言語で、道具でしかないという感覚。これは英語学習者に響くとおもいます。
BONNIE PINKの日本語と英語の使い方
彼女は英語ができるからといって、楽曲を全て英語の歌詞にするつもりはないそうです。なんでも日本人の心に響くのはやはり日本語で書かれた歌詞だからだそう。なるほど。そして日本語には日本語のリズム。英語には英語のリズムがあるそうです。故に、彼女の楽曲製作は詞と曲が同時にできるらしいです。「英語でしか書けない世界や、英語でしか綴れないリズム感というものを自分の中で育てていきたい」。彼女はそう言います。
まとめ
「音楽番組を見ても、英語で歌っている人ってあんまりいないじゃないですか。英語がもうちょっと市民権を得るようになったら、私的には凄く過ごしやすくなりますね。たしかに必要に迫られないと覚えないってのはあるんですが、やっぱり喋ると世界が広がるんで。いろんな分野で最先端をいっている国なのに、英語になるとイマイチできない。そこはもうちょっと日本は頑張ってもいいんじゃないかと思っているんです。」by BONNIE PINK。同感です。では最後に本日の記事の学びを載せます。
- 日本で生きて日本で習得した英語はまだまだ実用レベルではない
- 言葉を重要視する仕事をしてる人は英語で思考できるレベルの英語力は欲しい
- 英語はあくまでも言語。英語はあくまでも道具。
- 英語には日本語とは違うリズムがある
- 耳で覚え、後から意味を付き合わせる学習法が英語学習の基本
TOEIC講師:石崎力也