ハーバード卒の芸人
本日は芸人の方です。といっても相当な変わり種。そしてむちゃくちゃ努力家で頭がいい。今日は本当にほぼ英語に関する記事でうめ尽くされるでしょう。とても勉強になります。しかし、あまりに情報量が多かったので無駄に長くなってしまいました。まあかなりタメになるので、英語学習者はもちろん、教育者の方々にも是非見て頂きたいと思います。
大学教授になったパックン
お笑い芸人であり、俳優であり、声優であり、DJ、MC、ナレーターであるパックン。ハーバード大学比較宗教学部卒業というのは有名です。高校時代は水泳部や演劇部に所属し、大学ではグリークラブに入っていました。また高IQ集団メンサのアメリカ会員だったようです。と、輝かしい功績を並べましたが本人は学歴など関係ないと言います。パックンの大学時代の6人のルームメイトはそれぞれ全く違う職に就いていると。一人は考古学の学者、一人はダボス会議(世経済フォーラム)のアメリカ支局長、一人は政治の調査会社、一人はふらふらいろんな仕事を渡っている、一人は高校の先生、そしてパックンは芸人。ようはピンキリと投げ捨てたパックン。何がしたいかで選べばいいとサラッといってのけます。「ただ、いっぱい勉強したおかげで、選択肢は多い。それは間違いないです。」これはとても真剣に受け止めなければならない真実でしょう。ちなみに、パックンは2008年より、相模女子大学の客員教授に就任。2012年10月には池上彰の推薦で東京工業大学のリベラルアーツセンターの非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」について教鞭を取っています。
パックンが日本に来たキッカケ
パックンが日本にきたキッカケは友人の誘いだったそうです。同じ名前の中学時代の友達パトリック・ガストンさんに付いてきたといっています。そして驚いたことに、日本語は全く喋れなかったそうです。ここからパックンのハーバード卒業の片鱗が見せられます。先ず日本語の勉強は日本行きの飛行機の中から始まりました。友人のガストンさんから日本語の教科書を借りて、文法、単語、表現を順番に覚えていったそう。そして日本に到着後、約半年で2年間分の教科書を全て覚えたといいます。最初の仕事は英会話講師だったようです。ちなみにガストンさんは中学校の英語の先生をしていました。誘われた時の言葉は
「日本には、英会話学校の先生というちょっと美味しい仕事があるから来れば?」
パックン初の就職活動は異国・日本だったというので驚きです。そして、、、
日本語を勉強しながらお金をもらっていたパックン
これもなるほどなと感動しました。パックンが流暢な日本を身につけたのは個人の勉強ではありませんでした。なんとそれは、英会話講師という仕事の中で身に付けたといいます。どういうことかと言いますと、日本人は恥ずかしがり屋でかつあまり積極的ではないことから英会話の授業に来ても日本語ばかりを使う方がほとんどなようです。すると、結局日本語で会話をすることが多くなり、結果パックンの日本語会話能力が向上していったということです。パックンは冗談混じりに「詐欺だ」と言ってました。だって生徒さんは英語を学ぶために毎月お金を払って来てて、結局パックンと日本語の会話をして帰っていくわけですから。
パックンの鬼アツイ日本語学習スタイル
パックンの日本語習得の熱はこれだけではありません。英会話講師をしていた同時期にパックンは日本人スタッフにも積極的に日本語で話しかけていたといいます。日本人同士だと日本語で楽しく世間話をしているのに、パックンには業務的な話しかされなかったらしくそれなら自分から話しかけに行くしかない、と。またオフの日はなるべく英語が話せない日本人の方とのコミュニケーションを増やしたようです。「コミュニケーションをとりたいなら、僕ががんばって日本語を習得するしかない」という環境に無理矢理身を置いたとおっしゃってます。
「たとえみんなを敵に回しても、日本語を覚えてやろう」
そんな意気込みで日本語習得に燃えていたようです。だからこそ今の日本語力があり、短期間で他言語を覚えることができたのです。これは日本の英語学習者にとってとてもありがたい指標となります。
英語ができることを証明してくれる魔法の質問
パックン曰く、日本人の英語学習者が勉強で空回りしているのは「必要性が欠けているから」だと言います。そしてそもそも日本人のほとんどの人は英語が話せると。パックンは言います。
「サッカーの試合を観に行きたい」と英語で言ってみてください。
この質問に対するインタビュアーの答えは「I want to see ……soccer games」これに対してパックンは「ほら言えたじゃん!」って。そしてこれをロシア語やフランス語で言ってみてと言います。確かに言えません。ここからわかることが日本人の大半が英語を話せてしまうってこと。上で書いた完璧主義などが邪魔をして「僕は英語ができない」と勘違いしながら英語を勉強している人が多いとのこと。先ずは今の自分が本当に英語が必要なのかを考え、必要と感じたのならば「ある程度英語はできる」って軽い気持ちで勉強を始めるのが良いってパックンは言ってました。
小学校の英語教育に関するパックンの主張
2年前から小学校5~6年生の英語教育が必修になりましたね。その点に関してもさすがパックン。教育者としての貴重な意見をなされてました。パックン曰く「言語は思考回路と等しい」ので、母国語がしっかりしていないと思考が中途半端になり理想的な英語学習ができないといいます。思考に影響するとなるとその後の人生にも関わりますしね。この点からも10歳くらいの小学校5,6年生から英語を学び始めるのはとても良いとおっしゃってます。またこの年齢ならば日本人の悪いクセである”自分は英語ができない”というのもないので良いと。そしてこの段階では英語に必要性を持たせる意味もないと言います。小学生の英語教育は可能性を重視すべきだと。
小学校教師の不安をパックンが解消
パックンは教師の方々にもアドバイスを送っています。小学校の英語教師はまず2つのことを知るべきだといいます。それは「諦めること」と「プロとして自信を持つこと」。「諦める」とは完璧主義の部分です。先生は完璧でなければならないという考え方。英語の先生と言えど日本人である以上完璧な発音で英語を教えられるわけがありません。だからそこは諦める。でも目の前の生徒達にとって絶対に役に立つ英語は教えることができますし、同じ日本人だからこその教え方ができると。そして「プロとしての自信を持つ」とは、宣言してしまうということ。自分は日本人で完璧な英語を教えることはできないが、日本人が英語を学習する過程で生まれる悩みやつまづき、苦しみなどはわかる。もちろんみんなよりも先に英語を勉強しているわけだからあなた達に役立つ・・・と上記の内容の反復になります。自信があるからこそ、真摯に生徒に向かっていけます。幼稚園の頃から英語を学んできた生徒にも伝えるべきことは必ずありますしね。日本ではやはり試験というものもありますし、英語ができることによって得られる多くの利益を教えてさらに英語力を伸ばしてもらうこともできます。日本で生きてきたがゆえの教育ができるということです。
パックンが教えてくれる英語を学ぶことで得られる利益
まず一つ目は「自分の言いたいことをストレートに伝える力」です。日本語は敬語などがあることから、先生、親、友達、恋人とそれぞれ話し方が変わります。だから婉曲の表現が身に付くと言われています。しかし、英語は表現が一つしかないのでストレートに物事を発するようになるのだそうです。もちろん英語でも言い換えて遠回しに言うこともできますが、わざわざ表現を難しくする意味はありません。ここからも分かる通り、二つ目は「新たな概念が身に付く」ことです。英語には「出る杭は打たれる」という概念がないようです。その代わりとなる言葉が「軋む車輪は油をさされる」ですからね。止まっている人には皆で背中を押すんです。若い段階でこの概念を知ればその後の人生に大きく影響しそうじゃないですか?素直に他人を応援できる概念が当たり前ってのは衝撃です。
パックン流子育て術
パックンには子供が2人います。家では奥さんが日本語を、パックンは英語を話すようです。そして子供の教育に関してはとても客観的な判断をしています。パックン曰く、日本の教育システムは高校まではとてもしっかりしているのだそう。だから子供も高校までは日本の学校に通わせるそうです。しかし、大学はアメリカにやらせたいといいます。「“つぶしがきくスキルをしっかり身につける”という意味ではやはり優れていると思うので。」という理由から。またしっかりと論文が書ける、つまり情報を正確にアウトプットできる能力を身につけて欲しいとのことで大学はアメリカを希望しているそうですね。社会にでればきちんと情報をアウトプットできるかどうかが一番大事だとパックンは考えています。同意します。
マックンの驚異的英語習得スピード
パックンマックンの吉田眞(マックン)も英語が達者です。といってもマックンは最終学歴が高校卒業。中学2年生で英語が嫌いになって以来ずっと拒絶していたといいます。しかし、周囲に引きつられ英会話教室へ。最初に受けた英語のテストは23/100と散々たるものだったようです。それが3ヶ月後には都内の最難関の高校入試問題で98点が取れるほどの実力に。その後2003年にはラスベガスで英語漫才に挑戦、成功をおさめています。さてでは具体的にマックンはどうやって英語を習得したのでしょうか?
マックンの英語勉強法
マックンの英語勉強法は至ってシンプルでした。英会話教室に通った時、そこの先生が日本語を全く喋れなかったそうです。そのためマックンは知っている単語を並べてみたりジェスチャーを使ったりという方法でしかコミュニケーションが取れなかった。そんな環境で”毎日”英語を使っていたそうです。文法などは全くやっていなかったようで、ひたすら英語使ってひたすら場数を踏むという訓練を行ったそうです。この時マックンは自分が案外単語を覚えていたことに驚いたそうです。そしてパックンはこのことについて日本の教育の凄いところだと賞賛しています。つまり、中学2年生から英語が嫌いで意欲的に英語の勉強をしていなかったのにも関わらず、日常英会話に必要な単語(基礎単語)は忘れずに覚えていられるシステムだからです。そしてパックンはこうも言っていました。
「だから、日本人はあと一押しで英語をしゃべれるようになるはずってこと!」
マックンの語る日本の英語教育
日本の英語教育にはまだまだ見直す点は多いのですが、前提として日本の文化に英語学習を妨げているものがありました。何度も申し上げてますが「完璧主義」です。完璧じゃないと話してはけないとか、恥ずかしいという考え方ですね。それに日本人学生のいう完璧さは学校で習った文法的に正しいかどうかってことです。しかし、この点に関してはマックンの体験談がとてもよかったので引用します。
「僕ね、なんであんなに英語が嫌いだったんだろうと思い返したら、テストの穴埋め問題みたいに、これしか正解がないということをいっぱいやらされたからだと思うんだよね。たとえば、日本人に“How are you?”って聞いたら十人中十人が”I’m fine thank you, and you?”って答えるでしょう?マスクしてて全然Fineじゃなくても。そうじゃなくて、Not bad.でもいいし、Good !でも、Tired.でも、何通りでもあるってことを、中学校の最初の授業のときに教えてほしいと思うよね。何を言ってもいいんだと思った瞬間から英語って楽しくなる。」
まとめ
ちょっと今日は書き過ぎましたね。文章ばっかり。でも今までの芸能人記事で一番英語に関して語れているかと思います。全てはバイリンガルコンビ・パックンマックンのおかげですね(笑)。やはり勉強に関してはとても深く考えが練られています。本日の記事に出てきた意見はとても貴重です。是非全て読んで頂ければなと思います。
TOEIC講師:石崎力也